PICK UPピックアップ
クラフトカクテル&モクテルの幅を広げる、
さいたま市内産ジンジャービアの底力。
<後編>
#Pick up
Yamashita Yasuhiro/山下泰裕 by「The Bar Vieux Carre2」
今回のカクテルに使用した「GINGER SHOOT」。左から、「honey bee」、「coconut porter longicorn」、「northern dark snail」。いずれも「しょうがのむし」のECサイトで購入可能。
さまざまなカクテルの割材として利用されてきた歴史があるジンジャービア。
けれども大量に作れるジンジャーエールが登場したことで、ジンジャービアを取り入れたレシピはすっかり廃れてしまった。
そこで今回は、「The Bar Vieux Carre2」のオーナーバーテンダー、山下泰裕さんにご協力いただき、「GINGER SHOOT」を使ってタイプの異なるカクテルを作っていただいた。
まずは、「The Bar Vieux Carre2」で提供している「ゴボウとスーズの発酵ジンジャーエール」。
自家製ゴボウウォッカにスーズ、ライム果汁、そして「GINGER SHOOT honey bee」をあわせ、ソーダでアップする。
「『GINGER SHOOT』を知ったのは、クラウドファンディングがきっかけ。
かねてより地元に貢献したいという思いが強くあり、2号店のオープンにあたっては埼玉県産の食材やプロダクトを多く導入することを決めました。
『GINGER SHOOT』は、見沼の休耕地を利用したプロダクトというストーリーに惹かれ、支援したのが始まりでした。
初めて味わった『honey bee』はパンチの効いたショウガとしっかりとしたスパイス感のバランスがよく、ツイストしやすい印象をもちました」(山下)
大地を思わせる香り・味わいが印象的な「ゴボウとスーズの発酵ジンジャーエール」。
キーワードは「土」。土の香りを凝縮した一杯。
「以来、オンメニューしているカクテルがこちらです。
モスコミュールのツイストで、“大地香るミュール”というイメージでしょうか。
ショウガ、ゴボウ、スーズはそれぞれが土っぽいニュアンスを備えており、組み合わせの相性は抜群。
スーズのゲンチアナ由来のほろ苦さ、どこか懐かしさを感じさせるゴボウの香り、ぴりりとしたショウガが互いの存在を引き立て合います」(山下)
2つ目のカクテルは、なんともユニークな漆黒のカクテル。その名も「ブラック・ピニャ・コラーダ」。
コーヒーカクテル以外の黒いカクテルはなかなかお目にかかれないので、見た目にもインパクト大!
ベースはホワイトラム。そこに、焙煎したチョコレートモルトとホップ、ココナッツチップを使ってココナッツポーターの味わいを再現したという「GINGER SHOOT coconut porter longicorn」とパイナップルジュースを合わせている。
真っ黒なビジュアルが目を引く「ブラック・ピニャ・コラーダ」。初めて「GINGER SHOOT coconut porter longicorn」を口にした山下さんも独特の味わいが気に入り、さっそくオーダーをかけたそう。このレシピをさらにアップデートし、メニューに加えるつもりだ。
ノンアルコール、でも飲み口は「まるでクラフトビール」。
「無類の酒好き」という周東さんがクラフトビールの醸造家とタッグを組んで開発したというジンジャービアで、味わいはノンアルコールのクラフトビールそのもの。甘味がほとんどないのも特徴だ。
「ジンジャーエールとは異なりシロップベースのドリンクではないので、甘みを加えないという選択もありなんです。
なんなら、砂糖を入れずに塩を入れて“しょっぱい”ジンジャービアだって醸造可能です」(周東)
「ウイスキーとの相性がよさそうだと感じたのですが、一口味わってみたらむしろラムがいいんじゃないかと思って。
パイナップルのフレッシュな甘さと香りが、ビターなロースト香を引き立ててくれます。
クリームを入れていないのですが、『GINGER SHOOT』に含まれるココナッツ感がクリーミーなニュアンスをもたらしてくれますね」(山下)
続いてご紹介するのは、「イベント出店時に気軽に提供できるカクテルを」という周東さんのリクエストに応じて考案したカクテル。
カモミールの花の香りとシナモンのスパイス感で飲みやすく仕上げた「スコティッシュ・ミュール」。
「スコティッシュ・ミュール」はグレングラントアルポラリスに、紅茶とカモミールで造った「GINGER SHOOT northern dark snail」、レモン果汁を加えてステアする。
「グレングラントアルポラリスのシェリー樽由来の華やかな香り、紅茶の爽やかさ、カモミールの優しい花の香りをレモンの酸味で引き締めました。
最後にシナモンでスパイシーな香りづけを。アルコール感は苦手という方もごくごく飲める、飲み心地のいいカクテルです」(山下)
続いて作っていただいた「レッドワイン・ジン・サワー」は、赤ワインのニュアンスを強調したサワースタイルのカクテル。
使うのは「GINGER SHOOT deep fermented prototype」。ワイン粕をさらに発酵させている。
カクテルのベーススピリッツはタンカレー。「GINGER SHOOT deep fermented prototype」、赤ワインを煮詰めた自家製シロップ、レモン果汁を加え、泡立てた卵白でサワーに仕立てる。
「このジンジャービアは赤ワインを思わせる余韻が面白いのですが、その味わいをもっとも引き立てるのスピリッツがジンだと思いました。
ワインのニュアンスとブドウの甘み、綺麗なルビーレッド色がポイントのカクテルです」(山下)
「この発酵ジンジャーエールは、埼玉県でビオワインを造る『武蔵ワイナリー』から仕入れた、小公子というブドウ品種のワイン粕を使っています。
『しょうがのむし』では『生産から販売までの工程に、できる限りの課題解決を組み込む』ことを実践しており、この商品も通常では廃棄されてしまうワイン粕を買い取ってアップサイクルすることで、廃棄物の削減に貢献しています。
ちなみに、醸造後に出た残渣は畑で堆肥にし、ショウガを栽培しています」(周東)
ルビーレッドの液色が美しい「レッドワイン・ジン・サワー」。
OEMで、バーテンダー理想のジンジャービアを造る!
このようにロング、ショート、サワースタイルとさまざまなカクテルに応用できる「GINGER SHOOT」。
ちなみに、「GINGER SHOOT」を手掛ける「しょうがのむし」ではOEMも可能。
小型の100リットルタンクを所有しているため、小ロットでもオリジナルジンジャービアを醸造できる。
「OEMでは香り、甘さ、酸味、辛味など、バーテンダーの理想の味わいを叶えることができます。
シロップベースのジンジャーエールとは違い、ビールのように発酵させて1バッチずつ造っているため、その時どきのコンセプトや副原料によって味わいを自在に変えることが可能だからです。
過去には、鉄道系グループ会社のためにローズマリーを使用したオリジナルジンジャービアを造ったこともあります。
また、地元・さいたま市にあるバーの注文でマデイラと月桂樹を使用したものや、カフェからのオーダーで間伐したメタセコイアのウッドチップを使用したジンジャービアを醸造したことも」(周東)
味わいの幅広さもさることながら、まるでアルコールを飲んだかのように体中がぽかぽかする不思議な飲み口で、カクテルの割材として、あるいはローアルコール&モクテルの材料としてジンジャーエール以上のポテンシャルを感じさせるジンジャービア。
さまざまな可能性を秘めたこのノンアルコールドリンクに、ぜひご注目ください!
The Bar Vieux Carre2 | |
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