ウルトララグジュアリーテキーラ「KOMOS」
共同創業者のリチャード・ベッツさんに訊いた
「なぜ『KOMOS』を起ち上げたのか!?」

SPECIAL FEATURE特別取材

ウルトララグジュアリーテキーラ「KOMOS」
共同創業者のリチャード・ベッツさんに訊いた
「なぜ『KOMOS』を起ち上げたのか!?」

#Special Feature

文:Drink Planet編集部 Photo:Daisuke Akita

テキーラはテキーラでも、伝統や常識に一切縛られることなく、圧倒的に自由でアッパーなウルトララグジュアリーテキーラというカテゴリーを切り開いた「KOMOS(コモス)」。2024年3月25日にはついに日本初上陸! というワケで、来日中の共同創業者兼CEOのリチャード・ベッツ(Richard Betts)さんにお話を伺いました~。

元マスターソムリエが手がけるテキーラ!

Q 今回が初来日と伺いました。日本にはどのくらい滞在する予定ですか?

現在、「KOMOS」はアジア各国でローンチを展開している段階です。日本に来る前は韓国、カンボジア、タイを回り、今後は日本に滞在しながら、台湾やフィリピン、その後は香港やオーストラリアにも足を運ぶ予定です。

「KOMOS」自体は2020年末にスタートし、アメリカやヨーロッパ、中東などでローンチを果たしてきました。2023年から2024年にかけてはアジアに注力し、今年4月には日本でもテイスティングセミナーを行いました。

Q テキーラブランドの創業者としては異色の経歴をお持ちと伺っています。どのようなキャリを経て「KOMOS」を創業したのでしょうか?

私の話をすると長くなりますよ(笑)。

というのは冗談ではなく本当に長いストーリーがあるのですが(笑)、ここではかいつまんでお話ししましょう。私はNY生まれのアリゾナ州育ち。大学では政治学や地質学、法律を専攻していたのですが、私自身の興味はいつしかフード&ビバレッジ業界に強く惹きつけられるように……。結局、両親の大反対を押し切って、ソムリエの道に進みました。

当時、私がソムリエとして働いていたのはコロラド州アスペンという山岳スノーリゾート。繁忙期の夏と冬以外は時間がたっぷりあったので、秋にはフランスやイタリア、カリフォルニアのナパでワイン造りに携わり、春には季節が逆の南半球でワイン造りを手がけました。さらに2006年には「Sombra Mezcal」と「Astral Tequila」を創業。つまり一時はソムリエであり、ワインメーカーであり、テキーラ(メスカル)メーカーの三刀流でした(笑)

話をもとに戻すと、2003年には(世界最難関と評される資格)マスターソムリエに一発合格。これは当時、世界でも9人目という快挙でした。また2020年にはマスターソムリエの資格を自ら放棄(辞退)しました。これは、いまも世界で唯一です(笑)。この話はまた別の機会に……。

陽気なお祭り騒ぎのシンボル!?

Q す、すごいですね……。2006年には「Sombra Mezcal」と「Astral Tequila」を起ち上げたとのことですが、なぜメスカルであり、なぜテキーラなのでしょうか?

世界各地を旅しながら、もちろんさまざまなバーやレストランも見て回りました。世界中のいろんなお酒を試すなかで、私の気持ちをグッと引き上げてくれる唯一のお酒がアガヴェだったのです。

クラフトジンのブームも感じてはいたのですが、私の場合、ジンを飲むと眠くなってしまうので諦めました(笑)。

Q そこからどのような経緯を経て、2020年に「KOMOS」をスタートしたのでしょうか?

「Sombra Mezcal」と「Astral Tequila」を起ち上げるにあたり、メキシコ・オアハカ州に渡り、蒸留についても深く学び、また研究も重ねました。そんななか、やはり私が本当に愛を感じるのはテキーラだという結論に達しました。

2009年にはワイン事業を売却、2017年には「Sombra Mezcal」と「Astral Tequila」の株式も売却。しばらくヨーロッパに住むことにしたのですが、おいしいテキーラを飲もうと思っても、アメリカと違って高品質のテキーラがなかなか手に入りませんでした。

そう、そこで気づいたのです。高級テキーラは未開拓の市場であり、まだまだ伸びる余地が大いにある市場だと……。サントロペやミコノス、イビサといった高級リゾート地の、ホテルバーで、プールサイドで、クルーザーの上で、高級テキーラが求められていると直感しました。

だったら地中海の優雅なライフスタイルに合うようなウルトララグジュアリーテキーラを自分たちの手で起ち上げようと……、そうして誕生したのが「KOMOS」です。「KOMOS」とは、ギリシア神話に出てくる陽気なお祭り騒ぎの神の名前に因んでいます。

ソロではなく、テキーラのオーケストラ!

Q ウルトララグジュアリーテキーラである「KOMOS」は他の一般的なテキーラとなにが違うのでしょうか?

まず「KOMOS」はテキーラの歴史や伝統から離れて「自由」ということです。もちろん我々はテキーラの歴史や伝統をリスペクトしています。しかし伝統について語ることはありませんし、過去に縛られることもありません。

具体的なところでいうと、まず「KOMOS」にはノンエイジのブランコという商品はありません。すべて熟成テキーラです。

多くのテキーラメーカーはまずブランコを造り、それを熟成させて、レポサドやアネホなどを展開していきますが、それですとブランコをただ熟成しているだけ、ということになります。

「KOMOS」の商品はすべて、あらかじめゴールが設定されています。そのゴールに向かって、発酵・蒸留・ブレンド・熟成といった工程をたどります。英語では「Purpose Built(専用設計)」という言い方をします。

Q 日本では「アネホ クリスタリーノ」「レポサド ロザ」「エクストラ アネホ」の3商品をまずリリースされるそうですが、すべて工程が違う、ということですか?

我々もまず原酒となるノンエイジのブランコを蒸留するのですが、ブランコは商品として販売することはなく、あくまでもゴールを設定した上での原酒という扱いです。原料となるのは100%ブルーアガヴェ。正式名称はアガヴェ・アスール・テキラーナ・ウェーバーです。

収穫するのはよく熟した7~8年モノ。もちろんすべて手摘みです。他の多くのテキーラブランドはハイランド(高地)のブルーアガヴェのみを使用するのですが、「KOMOS」はローランド(低地)のブルーアガヴェも使用します。

これはワインメイキングのブレンドによる考え方です。「KOMOS」が目指したのはテキーラのオーケストラです。ソロノートではありません。ですから、奥行きや深さ、微妙な陰影を表現するために、ハイランドとローランドのさまざまな畑のアガヴェを使用しています。

収穫したアガヴェは火山岩レンガのオーブンで2日間じっくりローストした後、破砕・加水・圧搾といった工程を経て「モスト」に。この「モスト」をその土地土地のイースト菌で十分に発酵させ、2回蒸留を行った上でブレンドし、ブランコのオーケストラを造ります。

ワインメイキングの技術をテキーラに!

Q 他にリチャードさんが培ってきたワインメイキングの技術は活かされていますか?

ボトリング前の最終段階においてマイクロオキシジェネーション(Microoxygenation)を採用しています。これは、熟成・ブレンドを終えたステンレスタンク内のテキーラに極微細な泡の酸素をエアーポンプで供給することにより、酸化熟成を促すテクニックです。酸化といっても不必要な酸化ではなく、まろやかさやアガヴェの甘みをプラスするポジティブな酸化です。

それから「アネホ クリスタリーノ」と「エクストラ アネホ」に関しては、ほんの僅かなのですが、塩を加えています。本当に極少量です。テキーラと塩の相性の良さはご存じのとおりです。実際に塩を少量加えることで、アガヴェ由来の深い味わいを引き出すことに成功しています。「KOMOS」は地中海の太陽と海をイメージしているのですが、塩は海のイメージにも繋がっているんですよ。

Q このたび日本でリリースされる「アネホ クリスタリーノ」「レポサド ロザ」「エクストラ アネホ」の3商品について簡単に説明していただけますか?

「アネホ クリスタリーノ」はその名の通り、アネホなのに、色はクリアなのが特長です。一般的なアネホはバーボン樽で熟成されますが、「アネホ クリスタリーノ」はカリフォルニア・シャルドネのフレンチオーク樽で12カ月熟成。ビーチやプールサイドといったデイタイムにも似合うテキーラを想定しているので、活性炭(チャコールフィルター)で一滴一滴濾過し、どこまでもクリアでスムースに仕上げています。

「レポサド ロザ」は最高峰のロゼテキーラを目指しました。熟成にはカリフォルニア・ナパバレーのカベルネ・ソーヴィニヨンやピノ・ノワール、シラーなど、実に1,000種類以上の赤ワイン樽を使用しています。約2カ月(65日)の熟成を経ることで、ソフトで繊細な風味と鮮やかなロゼカラーをまといます。

「エクストラ アネホ」はフレンチオークのカリフォルニア・シャルドネの樽とアメリカンオークのバーボン樽で3年熟成。バーボンのニュアンスが出過ぎないよう、セカンドフィル樽ではなく、バーボンの次にテキーラを熟成した後のサードフィル樽を使用しています。フレンチオーク樽の上品さとアメリカンオーク樽の芳醇さが絶妙にブレンドされ、ジャパニーズウイスキーのようなタッチがあります。日本の方には特に喜ばれるかもしれませんね(笑)

ウルトララグジュアリーテキーラは必ずくる!

Q ウルトララグジュアリーテキーラというカテゴリーはまだ日本人には馴染みがありません。「KOMOS」はどんなシーンで、どんな風に飲んだらいいでしょうか?

先ほども申しましたが「KOMOS」は自由なテキーラですから、楽しみ方も自由です。ブランド側からなにかを提示することはありません。ストレートでもカクテルでも、日本風にハイボールでもまったく問題ありません。

個人的にはワイングラスに「KOMOS」を注ぎ、氷1個を浮かべて、ソーダで割って飲むのが好きですね。お好みでピンクグレープフルーツのスライスを入れると、これまでにないテキーラ体験ができると思いますよ。いろいろ試しましたが、ピンクグレープフルーツとの相性が抜群です。

そうそう、ロンドンのNoMad Hotelのバーでは、「アネホ クリスタリーノ」を使った1杯48ポンド(約9,000円)のパローマを出していましたよ(笑)。

Q カテゴリー的には「クラセアスール」や「ドンフリオ1942」などが競合になると思うのですが、どうお考えですか?

競合とは思っていません。むしろウルトララグジュアリーテキーラというカテゴリーを一緒に開拓していく仲間だと思っています。実際に現在35の国と地域に展開予定なのですが、同じ代理店で扱っているという国もあるくらいです。それだけ、ウルトララグジュアリーテキーラというカテゴリーは伸びしろがあるし、未開拓な市場だということです。

Q 最後に日本のDrink Planetの読者に一言お願いします。

ウルトララグジュアリーテキーラは必ずきます。日本のバーのバックバーに「KOMOS」の大胆なボトルが並ぶ日を楽しみにしています!


★KOMOS輸入元サイト
https://www.kk-sincere.com/product/komos/

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