「The SG Club」後閑信吾さんが語る
最新アメリカンウイスキー事情!

SPECIAL FEATURE特別取材

「The SG Club」後閑信吾さんが語る
最新アメリカンウイスキー事情!

#Special Feature

「The SG Club」地下1階のSip内観。

「The SG Club」地下1階のSip内観。

2018年6月16日に日本初出店となるバー「The SG Club」を東京・渋谷にオープンさせた後閑信吾さん。

(後閑さんと「The SG Club」については、こちらの記事をチェック!

世界をよく知る後閑さんが、日本のバーシーンと後閑さんのもう一つの拠点であるNYのバーシーンとを比較しながら、最新のアメリカンウイスキー事情を語ってくれました。

もちろん、その好例として、後閑さんがレシピ開発を手がけたアメリカンウイスキーカクテルも披露。

近年、クラシックカクテルが再び脚光を浴びるのと同時に、世界的な人気となっているアメリカンウイスキーの最新事情とは!?

世界中のバーテンダーから熱い支持を集めるクラフトバーボン、ウッドフォードリザーブ。

世界中のバーテンダーから熱い支持を集めるクラフトバーボン、ウッドフォードリザーブ。

Q 最初に日本のバーと海外、特に後閑さんが拠点の一つとされるアメリカのバーの違いを教えていただけますか?

「飲み手の違いという意味で言いますと、まず絶対数が違います。日本のバーは一部のバー好きの方が行く場所、というイメージです。正確に数字を取ったわけではありませんが、バーに行く人の数は日常的にお酒を飲む方の10%以下ではないでしょうか。率直に言うと、バーがまだ皆のものではありません」

「一方、アメリカは『飲みに行く=バーに行く』というカルチャーが根づいています。誰もが家の近くや仕事場の近くに、お気に入りのバーを一軒くらいは持っています。人々の生活の中にバーが当たり前のように存在しています。ですから当然、飲み手の知識も違います。アメリカ人はそれぞれ飲み方のスタイルを持っていて、カクテルを頼むにしても必ず銘柄を指定してきます。もちろん、飲む量やスピードも日本人とは桁違いです(笑)」

「ここ『The SG Club』では、日本の皆さんにも気軽にバーに足を運んでいただけるよう、メニューに茶割やレモンサワーを置いたり、昼間から営業したり、カクテルのテイクアウトを取り入れたりしています」

Q 日本とアメリカではバーテンダーにも違いはありますか?

「もっとも大きく異なるのはスピードです。アメリカはチップを稼ぐ文化ですから、クオリティを保ちながらも、いかに効率よく杯数を作るかが問われます。 NYの有名バー「Employees Only」では、約120㎡の店で1日700杯ものカクテルを作るほどです。逆に日本は時間をかけて一杯一杯丁寧に作る。ヨーロッパはその中間で、さらにクリエイティビティに重きが置かれています」

「ホスピタリティにも違いがあって、アメリカではカウンターが一つのステージ。バーテンダーはエンターテイナーや話し相手となってお客様を楽しませるのが仕事です。一方日本では、バーテンダーは黒子に徹してお客様を気持ちよくもてなすのが仕事です。それぞれの良さをうまく取り入れながら、日本のバーをもっと多くの方に足を運んでいただける場所にしたいと考えています」

2度のチャコール・メローイング製法(サトウカエデの木炭でウイスキーをろ過する伝統製法)により、極めてスムースな味わいに仕上げられたジェントルマンジャック。

2度のチャコール・メローイング製法(サトウカエデの木炭でウイスキーをろ過する伝統製法)により、極めてスムースな味わいに仕上げられたジェントルマンジャック。

Q なぜ今バーボンをはじめとするアメリカンウイスキーが人気なのですか?

「1920年代以降、アメリカを中心にいわゆる“カクテル黄金時代”を迎えました。この“カクテル黄金時代”が2000年代に入って再び脚光を浴びているのですが、当時のカクテルはバーボンやライウイスキーをはじめアメリカンウイスキーをベースにしたものが圧倒的でした。1920~1950年代のカクテルブックをご覧いただくと、ウイスキーベースのカクテルがいかに人気だったかがわかるはずです」

「日本ではこれまでウイスキーはストレートで飲むもの、というイメージが強かったかもしれません。しかし欧米ではオールドファッションド、サゼラック、マンハッタン、ウイスキーサワーといったアメリカンウイスキーベースのカクテルが非常に人気です。私が勤めていたNYの『Angel’s Share』では、メニューに載せていなくともオールドファッションドが1日30杯以上出ました。トレンドというよりは定番といったほうがいいかもしれません」

Q 日本でもアメリカンウイスキーベースのカクテルは人気が出るでしょうか?

「世界のトレンドを受けるカタチで、日本でも少しずつアメリカンウイスキーカクテルの人気が高まっていると感じています。実際に売り上げ自体も伸びていると聞いています。特にここ数年でハイボールが認知されたことが大きいですね。若い方にとって“ウイスキーはストレートで飲むもの”というイメージは薄れているのではないでしょうか」

「日本は地方都市にもクオリティの高いバーが多いですし、研究熱心なバーテンダーの方も多い。ハイボールの認知によりウイスキーカクテルの入口もすでにでき上がっています。あとはきっかけさえあれば、アメリカンウイスキーカクテルは日本でも大きなトレンドになると思います」

キャラメルの焦げた甘い香りが心地いい「Gentleman’s Whiskey Sour」。

キャラメルの焦げた甘い香りが心地いい「Gentleman’s Whiskey Sour」。

今回、後閑さんが披露してくれたアメリカンウイスキーカクテルは3種類。

まずは、ウイスキーサワーを日本人向けにツイストした「Gentleman’s Whiskey Sour」。

★材料
ジェントルマンジャック 45ml
卵白 20ml
レモンジュース 15ml
オレンジジュース 15ml
メイプルシロップ 15ml
ソルトウォーター 1spray

★つくり方
すべての材料をシェイカーに入れ、ハンドブレンダーで撹拌。
氷とともにシェイクし、グラスに注ぐ。
砂糖を振りかけ、バーナーでキャラメリゼし、シナモンをひと振り。
最後にオレンジピールを絞りかける。

「アメリカ人にとってのウイスキーサワーは、日本人にとってのウーロンハイのような、非常に親しみのある存在です。ただし通常のレシピですと日本の方にとっては強すぎるので、オレンジジュースやメイプルシロップを使うことでやわらかな印象に仕上げました。ソルトウォーターも日本人の方が苦手な卵白の生臭さを消すために使用しています」

「またオレンジやメイプルシロップはジェントルマンジャックのウッドっぽい印象を引き立てる役割も果たしています。砂糖をキャラメリゼしたのも、樽由来のバニラやキャラメルのニュアンスに合わせてのことです。通常のウイスキーサワーのレシピを少し変えるだけで、日本人にもグッと親しみやすい味わいになるはずです」

ミントとディルが芝生の緑を想わせる「Yonkers Julep」。

ミントとディルが芝生の緑を想わせる「Yonkers Julep」。

続いては、ケンタッキーダービーの公式カクテルであるミントジュレップをNY風に仕上げた「Yonkers Julep」。

ヨンカーズとは、マンハッタンのすぐ北に位置するNYにおける競馬の聖地で、同時にリンゴの名産地としても知られているんだとか。

★材料
ウッドフォードリザーブ 30ml
リンゴジュース 60ml
ハチミツ 10ml
ライムジュース 10ml
ビターズ 少々

★つくり方
ビターズ以外の材料をブレンダーで撹拌。
ジュレップカップに注ぎ、クラッシュアイスで満たす。
ビターズを振りかけ、ボンビージャ(マテ茶用ストロー)を添える。
最後にミントとディルを飾る。

「ウッドフォードリザーブの華やかさに合わせて、フレーバーの強いリンゴジュースと非加熱オーガニックのハチミツを使用しています。甘味や酸味を少し強めにして日本の方にも飲みやすく仕上げていますが、それでもバーボンらしさをしっかり感じさせてくれるのがウッドフォードリザーブのポテンシャルの高さだと思います」


3つ目のカクテルは、オールドファッションドを「The SG Club」ならではのアレンジで仕上げた「Wagyu Mafia Fashioned」。

同カクテルについては、Drink Planetでも紹介しているので、こちらをチェック!

最後に、今回のアメリカンウイスキーカクテルのベースとして選んだジェントルマンジャックとウッドフォードリザーブの印象を訊いてみました。

「ウイスキーサワー、ミントジュレップ、オールドファッションド、いずれもそのお店の顔となる大事なカクテルです。特にアメリカのバーなら尚更のことです。そのベースにどの銘柄を選ぶかは、バーの方向性にも関わってきます」

「香りや味わいはもちろん、歴史や製法、こだわり、ブランドイメージ……。ジェントルマンジャックもウッドフォードリザーブも、バーテンダーがお店の顔として選びたくなるアメリカンウイスキーだと思います」

★ウッドフォードリザーブのSecrets of Brandは
こちら

★ジェントルマンジャックのSecrets of Brandはこちら

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