SPECIAL FEATURE特別取材
祝、初開催!「フロール・デ・カーニャ
サスティナブル・カクテル・チャレンジ2022」をレポート。
#Special Feature
3位に輝いた「BAR B&F」峰岸翔弥さんのプレゼンテーション。
課題は、サスティナビリティの視点。
先頃行われた、ニカラグア産のプレミアム・ラム、「フロール・デ・カーニャ」のカクテルコンペティション。
コンペのタイトルに「サスティナブル」とあるように、この大会ではメインスピリッツへの理解やカクテルメイキングの技術、味わいだけでなく、カクテルに表現された「サスティナビリティ」もジャッジされます。
カクテルに使える食材は「サスティナブル」なもの、つまりフェアトレード認証を受けていたり、フードロスに配慮したものであったり、あるいは地元産素材など、サスティナブルな方法で栽培・調達されたものでなければいけません。
カクテルをサーブするグラスも同様で、リユースもしくはリサイクル可能なものという条件があります。
オンライン審査を経て日本大会に出場したのは、「Andaz Tokyo RooftopBar」の白尾裕一さん、同じく「Andaz Tokyo RooftopBar」の菊地佑治さん、「BAR 霞町嵐」の山内良太さん、「BAR B&F」の峰岸翔弥さん、「The Herbs」の斎藤麻美さん、「THE KAHALA LOUNGE」の戸塚信弥さん、「猫又屋」新井洋史さんの7名。
ジャッジを務めるのは、「フロール・デ・カーニャ」オーストラリア・ニュージーランド アンバサダーの“ミッチ”ことミッチェル・J・タウンゼントさんと日本ラム協会会長の海老沢忍さん、武蔵屋の小林卓也さん、そして「フロール・デ・カーニャ」インポーターであるアイデイ商事代表取締役の土居影久さんの4名です。
審査員はこちらの方々。左上:アンバサダーのミッチさん 右上:日本ラム協会会長の海老沢忍さん 左下:武蔵屋の小林卓也さん 右下:アイデイ商事代表取締役の土居影久さん
健康に寄与する食材の力、ローカリゼーション、生産者と消費者との架け橋、飲食がもたらす豊かな時間……それぞれが独自のサスティナビリティ考を披露してくれ、プレゼンテーションから大いに盛り上がります。
審査員から出場者への質問も、通常のコンペよりもバーテンダーのパーソナリティや本質に踏み込んだものが多いように感じました。
およそ3時間に渡る激戦の末、ついに受賞者が決定!
3位は「BAR B&F」の峰岸翔弥さん。カクテルは「フロール・デ・カーニャ 12年」を使った「Madre Tierra〜母なる大地」。
ビーツ、コーヒー、青ユズといったクセの強い食材を、「フロール・デ・カーニャ 12年」の華やかな香り、柔らかな甘味がうまくまとめてくれています。
週に1度、農作業のために埼玉県の畑に通っているそうで、土をさわりながら感じた、畑を取り巻く自然のサイクルや、土の養分や組成などがインスピレーションになっているとか。
グラスの縁には、大地や植物の芽をイメージしたという、ミントを刺したグリオッティンチェリーが飾られています。
「40%のアルコール度数を感じさせない滑らかさと、甘すぎずクドくない味わいで、飲みごたえのあるカクテルにしても飲み疲れない。そんな『フロール・デ・カーニャ』の特徴を引き出すため、バランスの良さを大切にしました」(峰岸さん)
審査員からは「ガーニッシュと一緒に味わったときの味わいの変化が、とりわけ印象的だった」(土居さん)とのコメントが。
準優勝の「BAR 霞町嵐」山内良太さん。
2位に輝いたのは「BAR 霞町嵐」の山内良太さん。
「Flor Resilience(フロール レジリエンス)」は、「フロール・デ・カーニャ 12年」をベースに、ほうじ茶のテアニン、カカオのテオブロミン、オレオサッカラムのリモネンといった健康効果の高い成分をふんだんに使い、インナーサスティナビリティを考えようというユニークな1杯。
竹のカップに入れた材料を茶筅で溶くというスタイルも秀逸です。
「130年という歴史のなかで大切にしていること、加糖しないナチュラルな甘みや風味を、カクテルの中で最大限に感じていただきたい」(山内さん)という通り、香り、味わい、余韻ともに繊細さが際立ちます。
「今日の会場の空気感を取り込んだ、臨機応変なプレゼンテーションも素晴らしかった」(海老沢さん)というように、完成度の高いプレゼンテーションも高評価でした。
優勝に輝いたのは、「猫又屋」の新井洋史さん!
「EVERGREEN」は地元(群馬県)の地産地消にこだわったカクテル。
「フロール・デ・カーニャの良さはまろやかで上品な味わい、余韻。ベーススピリッツの繊細さが失われないよう、パンチの効いた素材よりも、奥ゆかしい香りや味わいを備えた日本ならではの食材が、ベース×素材の相乗効果を狙えると思いました」(新井さん)
地元のワイナリーから提供を受けたブドウかすを、マキネッタを使いベルモットで抽出するなど、素材は全て地元のもの。
地元で間伐した竹のタンブラーは、アウトドアバーを手掛ける海老沢さんも「ぜひ使ってみたい」というほどの完成度の高さ。
ただ地元産の素材というだけでなく、それぞれの素材に工夫を凝らして精度を高め、カクテルに落とし込んだ点が高く評価されました。
「過去に3度、世界大会を経験していますが、どれもトップを取ることはできませんでした。諦めた夢の続きを今度こそ、見られるかもしれない。いまは高揚感しかありません。もちろん、世界大会を狙いにいきます!」(新井さん)
優勝した「猫又屋」の新井洋史さんと、カクテル「EVERGREEN」。
審査員講評もお伝えしましょう。
「オールバーボン樽でエイジングをかけた『フロール・デ・カーニャ』は、バニラやナッツのエッセンスが身上。今回のコンペもその視点でジャッジしました。
驚いたのは、どの参加者も『バニラ』や『オレンジのフレーバー』と口にしていた点。みなさん、よくテイスティングし、メーカーの伝えたいことを理解されているなあと感心しました。
新井さんのカクテルは、素材が奏でる優しさのなかに、きちんと『フロール・デ・カーニャ』の個性がありました。控えめな素材とのマッチングが良かった。
アジア大会に向けては、『フロール・デ・カーニャ』の酒質を生かしつつ、ラムらしい飲み応えを強調してもらいたいと思います」(海老沢さん)
「今回は本当に激戦でした。特に上位2人は肉薄していた。リョウタ(山内)さんはプレゼンも面白かったし、カクテルそのもののバランスも優れていました。
そのなかでアライさんは、ローカリゼーションというテーマを徹底的に貫いたところを評価しました。
カクテルもおいしいし、ストーリーの組み方も精度が高かったと思います。
他のバーテンダーもみんなオリジナリティ溢れるカクテルを提供してくれたので、ぜひ、来年も参加してもらいたいですね」(ミッチさん)
「普通のカクテルコンペでは味と技術、ブランドの特徴を伝えるプレゼンテーションに重きを置かれますが、今回のお題はサスティナビリティ。
それぞれのバーテンダーがそれぞれのサスティナビリティを表現していたことがよかったですね。
社会課題や現代のライフスタイルとカクテルが融合したことで、カクテルを飲む意義やきっかけを新たに創出するのでは。そんな期待感を抱かせてくれた、有意義なコンペでした」(小林さん)
日本大会に参加したみなさん。おつかれさまでした!
バー業界全体で、社会課題への取り組みを。
最後に主催者でもある土居さんにもお話を伺いました。
「『もったいない』という価値観をもつ日本人にとってこの言葉が内包する精神は、サスティナビリティという言葉が浸透する前から当たり前に息づいていたと思います。
そんな『当たり前』をカクテルでどう表現するのか。今回はみなさんそれぞれの『もったいない』を披露していただき、大変興味深かった。
こうした発想がバー業界にさらに浸透することで、フードロスやフードマイレージなど社会課題の解決に少しでも寄与することができればうれしいですね」
世界大会出場に向け、ミッチさんがコーチとなって新井さんをしごいて(!)いくそう。
次回、10月27日に開催されるアジア大会にご期待ください!
★フロール・デ・カーニャ公式HP(日本語)
https://flordecana.jp/
★お問い合わせ
アイデイ商事株式会社
TEL:06-6344-0003
www.id-shoji.com
- 1