
SPECIAL FEATURE特別取材
「レミーマルタン バーテンダー タレント コンペティション ジャパン2022」
[vol.01] -
総合優勝・竹下健一さん&部門優勝・加藤晋悟さんインタビュー!
#Special Feature
文:Drink Planet編集部
2022年末に開催された「レミーマルタン バーテンダー タレント コンペティション ジャパン2022」。Drink Planetでは同大会のファイナリスト8名にインタビューを敢行しました。Vol.1ではグランドチャンピオンの竹下健一さんと、部門別優勝に輝いた加藤晋悟さんを直撃!
加藤晋悟さん(左)と竹下健一さん(右)
2022年12月14日、RÉMY MARTIN BARTENDER TALENT COMPETITION JAPAN 2022(レミーマルタン バーテンダー タレント コンペティション ジャパン2022、以下RMBTC)のファイナルが開催され、ザ・リッツ・カールトン京都 「THE BAR」の竹下健一さんがグランドチャンピオンに輝きました。
おめでとうございます!
って、もうご存知ですよね?
RMBTC日本大会ファイナルは、実技審査(オリジナル・サイドカーチャレンジ)と接遇審査(コニャック・チャレンジ)の2部門でジャッジされました。
実技審査は、予選を勝ち抜いたエントリー作品(オリジナル・サイドカー)をプレゼンテーションしながら制作するもので、同部門は「THE SAILING BAR」の加藤晋悟さんが受賞。
一方、接遇審査は、海外からのゲストがオーダーしたコニャックカクテルを制作・提供する一連の流れをロールプレイするもので、こちらはグランドチャンピオンになった竹下さんが受賞しました。
なお、グランドチャンピオンの竹下さんは、2023年6月にフランス・コニャックで行われる世界大会「RÉMY MARTIN Bartender Talent Academy(レミーマルタン バーテンダー タレント アカデミー)」へ日本代表として出場します。
(Drink Planetでは世界大会の模様もレポートする予定!?)
来たる2024年はレミーマルタン創業300周年ということで、RMBTCはより一層注目度がUPするはず!
まずはRMBTCに出場した8名のファイナリストのインタビューをチェック!
竹下健一さん/ザ・リッツ・カールトン京都 「THE BAR」(京都府)
★竹下健一さんインタビュー
Q 「レミーマルタン1738アコード・ロワイヤル」を使用してオリジナル・サイドカーを考案するなかで、サイドカーというカクテルの印象は変わりましたか?
当初、サイドカーに対する「レミーマルタン1738アコード・ロワイヤル」の最適分量を試していたのですが、コアントローとの相性がとてもよく、甘めに仕上げても、ドライに仕上げても、どちらもイメージ通りに表現してくれました。ですから、サイドカーへの苦手意識が克服されましたね。
Q オリジナル・サイドカーの開発の経緯をお聞かせください。
まず多くの人に受け入れていただけるように、わかりやすい甘酸味のバランスと、アルコール度数を少し下げたミドルカクテルを創作したいという想いがありました。
サイドカーをつくる際に個人的に一番気になるのは、レモンジュースのフレーバーと酸の使い方。この点に関しては、ブランデーと同じくブドウ由来のヴェルジュと酒石酸を合わせることで、理想の材料(自家製アシッドヴェルジュ)をつくるに至りました。
次の材料として、ブドウの育成を支えるミツバチから「ハチミツ」、ブランデーの香りを開かせながらアルコール度数を下げる「ソーダ」まではすぐに決まりました。
同じ頃、プレゼンテーションのシュミレーションも始めました。そこで考えついたのが、サイドカーにちなんで一緒にドライブに出かけるというストーリー。バイクが走り去った後の焦げた香りを、ピートの効いたポートシャーロットで表現することで、カクテルの大枠が完成しました。
最後に副材料として選んだのはハラペーニョソース。カクテル全体のアクセントとなり、同時にレミーマルタンの土壌や情熱も表現しています。実際には、ハチミツと合わせて「自家製ホットスパイシーハニー」として取り入れました。
竹下健一さんのオリジナル・サイドカー「FOREDRIVER」
Q RMBTC日本大会に参加して得たものはございましたか?
私はこれまで、カクテルコンペティションに何度も挑戦しましたが、負け続けてきました。振り返ってみて気づいたのが、人の真似をして、オリジナルで勝負していなかったこと。「もっと竹下のプレゼンテーションを見たかった」や「らしくなかった」というコメントを聞いてとても後悔しました。
今回は「やりたいことをやり切る」という気持ちで挑戦しました。なおかつ即興の接客チャレンジ(接遇審査)もあったので、自分らしく、オリジナルで勝負した結果、優勝することができました。
ですから、オリジナルで挑戦することの重要性を実感したと同時に、日々のバーテンディングに向き合う自分に自信が持てました。
Q サイドカーをもっと多くの方に楽しんでもらうには、どのようなアプローチが必要だと思いますか?
昨今、高いアルコール度数は敬遠されがちなので、飲みやすいミドルカクテルやロングカクテルのサイドカーツイストがいいのではないでしょうか。幸い「レミーマルタン1738アコード・ロワイヤル」は柑橘類やナッツ、乳製品、スパイスなどさまざまな材料に合うポテンシャルがあるので、新しい時代にあったサイドカーを開発しやすいと思います。
加藤晋悟さん/THE SAILING BAR(奈良県)
★加藤晋悟さんインタビュー
Q 「レミーマルタン1738アコード・ロワイヤル」を使用してオリジナル・サイドカーを考案するなかで、サイドカーというカクテルの印象は変わりましたか?
大きくは変わりませんでしたが、今回オリジナル・サイドカーを開発することを通して、改めて素晴らしいレシピだと感動しました。
Q オリジナル・サイドカーの開発の経緯をお聞かせください。
サイドカーは、口に含んだ際のブランデーの豊かな香りが最も印象的なカクテルだと思います。ですから、そのポイントを活かせる副材料探しが今回の開発のメインテーマであり、最後までこだわったことです。
サイドカーの甘味のパートには、店舗にて抜栓された後、泡が抜け廃棄されてしまうシャンパンを再利用しました。これに砂糖を加え、煮詰め、自家製シャンパンシロップをつくり、副材料のひとつとしました。
次に酸味のパートには、当時フランス王家の富や権力の象徴であり、王のフルーツと呼ばれたパイナップルを使用します。ここでもレミーマルタンのリーズ蒸留方法というブドウを澱ごと蒸留し、コクを生み出すプロセスを参考に、パイナップルをジュースとして搾った後、廃棄されるハスク(搾りカス)に酢と砂糖を加え、自家製パインシュラブとして再利用しました。
これら2つの副材量は、冷蔵庫のない時代に安全に飲み物を確保する為の手段として用いられたもので、現代では廃棄量を減らし、そしてドリンクをよりおいしく仕上げるカクテルの相棒のような存在です。
今回創作したオリジナル・サイドカーがすべてのゲストの相棒のような存在になれるよう思いを込めて、カクテル名を親友や相棒という意味の「Side Kicker」と名付けました。
加藤晋悟さんのオリジナル・サイドカー「Side Kicker」
Q RMBTC日本大会に参加して得たものはございましたか?
同じファイナリストの方々と素晴らしい緊張感のなか、その場を共有できたことは、私の人生にとってよい刺激となりました。
Q サイドカーをもっと多くの方に楽しんでもらうには、どのようなアプローチが必要だと思いますか?
レミーマルタンは実際に素晴らしいクオリティのコニャックなので、まずは飲んでいただくこと。そのうえで我々バーテンダーがレミーマルタンの特別な製法やブランドヒストリーを上手にお客さまにお伝えできれば、必然的にサイドカーをお楽しみいただくことに繋がるかと思います。
Q 「バーテンダーって面白い!」と思う瞬間はどのようなときですか?
バーテンダーとして、こだわってつくったカクテルがお客さまに感動を与え、また同じものをオーダーされた時に1番のやりがいを感じます。