バーテンダー×ガラス作家が夢のセッション!
理想のグラスができるまで。
<前編>

PICK UPピックアップ

バーテンダー×ガラス作家が夢のセッション!
理想のグラスができるまで。
<前編>

#Pick up

Koga Yudai/古賀雄大 by「KOGA GLASS STUDIO」

カクテルの魅力を表現するオリジナルのグラスがあったなら……そんな思いを抱えているバーテンダーは少なくないはず。今月は、気鋭のガラス作家と手を組み、オリジナルグラスを作成したプロジェクトに迫ります。

文:Ryoko Kuraishi 撮影:Daiki Kasahara

富山名物といえば、300年の歴史を誇る「くすり」がある。

ときは17世紀後半。富山藩2代目藩主前田正甫による「江戸城腹痛事件」で「越中富山の薬売り」は一躍、全国にその名を轟かせたわけだが、歴史ある売薬業が近代の富山市にもたらしたものがガラス産業だ。

明治・大正期には薬の周辺産業としてガラスの薬びんの製造が盛んに行われ、多くのガラス職人が活躍したとか。

こうした歴史を受け、近年、富山市はガラス工芸の人材育成に取り組むようになり、いつしか「ガラスの街」として知られるようになった。

現在、富山市には世界でも最大級の規模を誇るガラス工房が開設されていることもあり、多くの作家が富山市に拠点を置いて活動している。

2022年に独立し、KOGA GLASS STUDIOを設立した古賀さん。

そうした作家の1人が、福岡県出身の若手ガラス作家、古賀雄大さんだ。

沖縄の琉球ガラス工房で技術を磨いたのち、より質の高い製作環境を目指して、同じくガラス作家である妻の故郷、富山市に移住。

昨年、自身の「KOGA GLASS STUDIO」を設立し、吹きガラスによって造形した作品を企画展やイベントなどで発表している。

古賀さんに「オリジナルのグラスを作って欲しい!」と持ちかけたのは、オリジナルプロダクトのローンチやフレアの大会で富山のバーシーンを盛り上げている「
Bar HYDEOUT」の川内大樹(HIROKI)さん


このコラボレーション実現の背景を、HIROKIさんに聞いてみよう。

富山のバーシーンを盛り上げようというHIROKIさんの活動は、どりぷらでも既報済み。今年も9月にフレアのイベント「THE COCKTAIL」を開催予定だ。

「富山産の素材を使ったクラフトジンを造り、トニックウォーターを手掛け、完全オリジナルのジントニックを提供できるところまでこぎつけました。

そうしたら今度は、ジントニックを提供するカクテルグラスまでにオリジナリティを貫き、唯一無二の一杯を実現したいという気持ちが生まれたんです」

昨年は国連が定めた国際ガラス年ということもあり、ガラスに関連するさまざまなイベントが行われた。

そうしたイベントに際し、富山高等専門学校の先生から「ガラス作家とコラボしませんか」と声をかけられたことで、漠然と思い描いていたリジナルのカクテルグラスがにわかに現実味を帯びてきた。

「BAR BenFiddich」の鹿山博康さんによる、自らデザインを手がけたグラスでのプレゼンテーション。

「バーテンダーとガラス作家のコラボレーションは世界でもなかなか例がないようです。

世界初で、そのうえ“ガラスの街”としての富山の魅力もアピールできる。ぜひ実現したいと思いました」(HIROKIさん)

HIROKIさんほか、「BAR BenFiddich」鹿山博康さん、「BAR BEE’S KNEES」などを手がける山本圭介さん、「BAROOM」の中村純さんと、ゲストシフトでたびたび富山を訪れている3名のバーテンダーも理想のグラスを作りたい気持ちは同じだったようで、急遽、参加が決定。

それぞれが理想とするカクテルグラスを作り、イベントでお披露目する――というプロジェクトがスタートした。

昨年11月に富山市内で行われた「THE COCKTAIL」で4人それぞれのグラスを披露した。

「これまでもカスタムオーダーという形でオリジナルグラスを作ったことはありますが、プロが考えた用途に沿ったグラスを製作するのははじめて。

コラボレーションという依頼を受け、初めはシンプルに『おもしろそう』と思いましたが、それぞれのバーテンダーのデザイン意図を伺ってみると、『これはハードルが高いぞ』、と(笑)。

各自が思い描く造形と容量、実際の使い勝手、さらに物理的にガラスで製作できるのかという実現性や製作上の効率の落とし所を見つけるのに苦労しました」(古賀さん)

後編では実際の製作工程を見せてもらいながら、さらに詳細にオリジナスグラス完成までのステップをレポートします!

後編に続く。

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URL:https://www.instagram.com/yudai_koga/