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Herb Bar SOURCE:いまリキュールがおもしろい!
仙台にある薬草酒専門バーへ。<前編>
#Pick up
Aizawa Hiromi/相澤ひろみ by「Herb Bar SOURCE」
アブサンを中心に世界中から集められた薬草酒が並ぶ。
仙台で、アブサンに魅了された“魔女”が薬草酒の伝道をしている……そんな噂を聞きつけて向かったのは、仙台にある「Herb Bar SOURCE」。
世界の薬草酒を集めた「Herb Bar SOURCE」があるのは、仙台の歓楽街、国分町にあるビルの1階。
店内にはさまざまな薬草酒が時系列に並んでいる。
古代ギリシアの薬酒に端を発する薬草酒のボトルを眺めながらその歴史をたどり、味わえるという趣向で、まさに“テイスティングできる薬草酒のライブラリー”といった趣きだ。
ずらりと並んだ薬草酒は、自家製果実酒を含めると400種超!もちろん、どれもオーダー可能だ。ラベルで選ぶもよし、オーナーの相澤さんに相談し、自分にあったものをおすすめしてもらってもいい。まさに薬局!
薬草酒でたどる世界史
オーナーは、メディカルハーブコーディネーターの資格をもつ相澤ひろみさん。
一般的な鎮痛剤にアレルギーをもっていたことから自分でも飲める薬をリサーチし始め、自分の体に合ったものを探すうちに植物の効能に行き着いた。
漢方製剤メーカーに勤めた後、脱サラして薬草酒専門バー「Herb Bar SOURCE」をオープンしたのが2000年のこと。
以来、口伝をモットーに、店内でアブサンをはじめとする薬草酒のパワーを伝えてきた。
「うがい薬がわりにどうぞ」と振る舞われたのは、小さなカクテルグラスに入った自家製のペパーミントリキュール。相澤さんが自宅で丹生込めて栽培しているペパーミントをウォッカに漬け込んだものだ。ポイントは「ペパーミントがもっともパワフルな時期を見極めて収穫すること」。相澤家ではこのミントリキュールを希釈してうがい薬として活用しており、誰1人風邪をひかないとか。
「西洋の世界でもハーブ(植物)を使った伝統療法の歴史は長いんです。
植物の有効成分を単離分離し化学合成した医薬品が使われるようになったのは、ここ100年ほど。
それまではハーブを浸漬もしくは抽出した薬草酒が薬代わりでした。
リキュールの前身は、ヒポクラテスがワインにハーブを漬け込んだという水薬ですが、その時点で400種をこえるメディカルハーブが確認されていたとか。
そうしたハーブを使ってさまざまな薬効のあるハーブリキュールが造られてきたんです」
その後、蒸留器の発達・普及とともにハーブスピリッツが開発される。
植物の成分には水溶性と脂溶性があるが、40〜50度というアルコールに植物を浸漬することでそのどちらの成分をも抽出することができるようになった。
相澤さんが注目する「東京クラフトリキュール」のハーブリキュールはコーナーで展開。
「それらの開発を担ったのは、中世ヨーロッパの総合病院にして最先端ラボともいうべき修道院。当時のエリート(修道士)たちがさまざまな薬草酒を作り出しました。
代表的なところではベディディクティンやシャルトリューズ、ベヘロフカにフェルネット・ブランカ、ウニクムなど。
いずれも製薬メーカーが生まれる前に100年以上も飲まれてきたもので、かつ、現在でもバックバーでおなじみのボトルばかりです」
バイオレットリキュールに加水して対流する液体を見せる。「Herb Bar SOURCE」ではこうしたプレゼンテーションを大切にしている。
提供方法はストレート、もしくは加水のみ!
カクテルの副材料としてお馴染みのハーブリキュールだが、「Herb Bar SOURCE」では薬草酒が本来飲まれていたスタイルを追求し、ストレート、もしくは加水のみで提供する。
店内では数種のアマーロを飲み比べ、好みの銘柄を見つけ出すセミナーを不定期に開催しているといい、薬草酒本来の魅力が定着しつつあるようだ。
また、店内に揃える薬草酒は全て一般でも入手可能ということもあり、外出もままならないコロナ禍においては自宅でじっくり薬草酒を味わうという楽しみ方も広まったとか。
後編ではさらに「Herb Bar SOURCE」を代表するアブサンと、相澤さんがアンバサダーとして開発にも携わった積丹スピリットのドラフトアブサンについてご紹介します。
後編に続く。
SHOP INFORMATION
Herb Bar SOURCE | |
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仙台市青葉区国分町2-15-21 第二吉岡屋ビル1F URL:https://herbbar-source.com |