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PICK UPピックアップ
FUGLEN TOKYO:昼はコーヒー、夜はカクテル。
カフェとしてバーとして、愛される店づくり3つのポイント。
- 前編 -
#Pick up
荻原聖司/Ogiwara Kiyoshi from「FUGLEN TOKYO」
文:Ryoko Kuraishi 写真:Midori Yamashita
バーマネージャーに就任して5年目を迎えた荻原さん。
東京で最注目のエリアとされる奥渋〜富ヶ谷エリア。
地域のランドマーク的存在になっているのが、ノルウェー・オスロに本店を構える「FUGLEN TOKYO」だ。
昼はスペシャルティコーヒーを提供するカフェ、夜はオリジナルカクテルを楽しめるバーで、日本人にも外国人にも支持されている。
コーヒーもカクテルも、という形態はいまでこそ珍しくないけれど、2012年の上陸当時、このスタイルはあまり浸透していなかった。
どりぷらでも2014年にカクテルレシピを取材している。(バーテンダーインタビューはこちらから!)
ノルウェーらしいスピリッツといえばこちら!「FUGLEN TOKYO」では主にこの2種類のアクアビットを使用している。
愛される理由その1:どんな世代にもオープンな、「バーの入り口」を掲げたから。
「FUGLEN TOKYO」がオープン当時から掲げているのは、「バーのハードルを下げる」店づくり。
チャージもドレスコードもない。気軽に入れるカフェの店構えでありながら、本格的なカクテルメニューを揃える。
誰に対しても良質なドリンクとサービスを提供する意志を、オスロの本店と共有している。
というのも、当時、20代の若い世代にとってカクテルバーのハードルはいささか高かったから。
バービギナーに対しても扉を開いたのが、「FUGLEN TOKYO」だった、というわけだ。
オープンから10年以上が経ち、若い世代を巻き込んだ店づくりが浸透したばかりでなく、バー愛好家の40代、50代も取り込んでいる。
「当初のメニュー作りでは、カクテルに慣れていない人に向けて飲みやすさを意識したメニューを揃えていました。
インバウンドも増えた現在は、アルコール感のしっかりしたカクテルと飲みやすいカクテル、どちらも揃えるようにしています」
そう言うのは、現在のバーメニューを統括するヘッドバーテンダーの荻原聖司さん。
愛される理由その2:ノルウェーらしさ×日本ならではのミクスチャーがあるから。
基本のメニューは本店に準じているが、レシピや味わいのバランスは日本仕様にアレンジしている。
基本的に自家製のシロップやジュースを使う、時にはビターズやトニックウォーターも自作する、フレッシュなスパイスやハーブを効かせ、個性的なアクセントを演出する、というポイントはオープンから変わらず踏襲している。
自家製シロップなどのレシピは、当時から受け継がれているらしい。
「微調整はしているものの、ほぼ変更していない」というから、ホームメイドの副材料からFUGLENらしい味わいが醸されているのかもしれない。
カクテルメニューをみてみよう。
いちばん人気は、食前食後・日本人外国人を問わずよくオーダーされる「ESPRESSO MARTINI」。
「ノルウェーらしさ」ということで、アクアビット・ベースのカクテルも豊富だ。
サワースタイルで提供する「AQUAVIT SOUR」、「MEMORY LANE」。幅広い層に人気の「SCANDINAVIAN NEGRONI」もアクアビット・ベースで仕立てている。
「FUGLEN TOKYO」のシグネチャーカクテル、「MEMORY LANE」。フレッシュなミントとベリー、ピンクペッパーでアクセントを。¥1330
また、スタンダードメニューに加えて年に4回展開するシーズナルメニューでは、本店とは異なる素材やレシピを揃えて「FUGLEN TOKYO」らしいスタイルを発信する。
「オスロとの信頼関係もできあがっているし、FUGLENらしさに対する認識も共有できているので、自由にメニュー開発を行っています」
「FUGLEN TOKYO」のシグネチャーとして紹介してもらったのは、「MEMORY LANE」。渋谷の街をイメージして荻原さんが考案したカクテルだ。
アクアビットをベースに、チェリーリキュールやレモンジュース、バニラシロップ、フレッシュなミントやベリー、卵白などを加えてシェイク。仕上げにピンクペッパーをあしらい、軽く炙って香りを立たせる。
しっかりしたボディにレモンジュースの爽やかさ、バニラシロップの甘み、ベリーやミントの香りで、渋谷の街にみなぎる若々しいエネルギーやフレッシュさを表現したカクテルだ。
ノルウェーのヴィンテージデザインを散りばめた店内で、カクテルグラスを片手に、思い思いのスタイルでくつろぐ。
愛される理由その3:カフェからバーへ、シームレスに移行するから。
カフェ&バーというスタイルが身上ともいえる「FUGLEN TOKYO」だが、アイドルタイムを設けず、カフェとバーがシームレスに移行するスタイルもこちらの特徴だ。
バータイムの18時になると照明が落ち、カウンターやテーブルの小さなランプに火が灯る。
ウォールメニューもカクテルのそれに変わるのだが、21時半にエスプレッソマシンが終了するまでは、コーヒーメニューのオーダーも可能。
ある人は食後のコーヒーを目的に、ある人はカクテルを楽しみに。カクテルグラスを手にする人とコーヒーを味わう人がいい具合に混在している。
クオリティの高いカクテルを提供しているにも関わらず、カフェと同じように会話も楽しめる。
使い手の気分次第で用途を変えられる自由度の高い空間はいまでこそ定着しているが、従来のバーシーンにはなかったものなのかもしれない。
後編に続く。
SHOP INFORMATION
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FUGLEN TOKYO | |
150-0063 東京都渋谷区富ヶ谷1-16-11 TEL:03-3481-0884 URL:http://www.fuglen.com/japanese |