⇒Englishx close

2025年、ウイスキーシーンはどうなる?
SMWSの新トップ、ジャック・チェンバースさん登場!
- 前編 -

PICK UPピックアップ

2025年、ウイスキーシーンはどうなる?
SMWSの新トップ、ジャック・チェンバースさん登場!
- 前編 -

#Pick up

ジャック・チェンバース/Jack Chambers from「THE SCOTCH MALT WHISKY SOCIETY」

今月は、2025年のウイスキーシーンのキーパーソンになりそうなジャック・チェンバースさん(ザ・スコッチモルトウイスキー・ソサエティ)が登場!今年のシーンを読み解きます!

文:Ryoko Kuraishi

イギリス生まれのジャックさん。Photo by 小針真悟

ザ・スコッチモルトウイスキー・ソサエティ(THE SCOTCH MALT WHISKY SOCIETY 、以下SMWS)は、「愛するウイスキーを仲間内で共有し、楽しみ、掘り下げたい」という愛好家によって設立された、世界最古の会員制ウイスキークラブだ。

1983年、樽の買い付けを行うプライベートカンパニーとしてスコットランド・エジンバラで創業。会員限定で貴重な蔵出しウイスキーを提供するという方針が世界中の愛好家に支持され、世界各国に支部が設立されるようになった。

現在は、世界各地の160を超える蒸留所から樽のまま購入し、独自にボトリングしたウイスキーを、世界20カ国・40,000人のメンバーに向けて販売している。

昨年暮れ、2017年に日本で創業したザ・スコッチモルトウイスキー・ソサエティ株式会社のトップに就任したのが、ジャック・チェンバースさん。

バーテンダーのみなさんには、ブルックラディ蒸留所&ウエストランド蒸留所のアンバサダーとしての活動が馴染み深いかもしれない。

ブルックラディ蒸留所アンバサダーとして活動していたころ。

日本で深まったウイスキー愛。

ここでジャックさんのプロフィールを簡単に。

1993年にイギリス・ケント州で生まれたジャックさんは、秋田の国際教養大学留学に伴い20歳で初来日。帰国してイギリスの大学を卒業すると、幹細胞の研究を行うため、2016年に京都大学院の修士課程に進む。同時に、祇園のバーでバーテンダーとして勤め始める。

大学院修了後、レミーコアントロージャパンのウイスキーブランドアンバサダーに就任、ブルックラディ蒸留所&ウエストランド蒸留所の「顔」としてさまざまに活動してきた。

「留学を終えて帰国し、イギリスの大学を卒業したとき、僕の親友が卒業祝いに『白州』を持ってきてくれたんです。僕たちは2人とも大の日本好きということもあり、『白州』を選んでくれたのでしょう。

で、二人で一瓶を飲み明かしました。ストレートでじっくり、ウイスキーを味わうのは初めての経験でしたが、これで完全にハマりました。

ジャパニーズウイスキーから入ってさまざまな蒸留所のウイスキーを味わうようになりました」

2019年、初めて山﨑蒸留所を訪れた際の記念すべきスナップ。この時の経験が、この業界に進むことを後押ししてくれた。

この業界に進もうと決意したのは、京都で山崎蒸留所を見学したことがきっかけだったそう。

「職人の技や製法のこだわりに触れ、この世界をもっと知りたいと思うようになりました。蒸留には理系の知識が、ブレンドにはクリエイティビティが問われますが、それが自分のバックグラウンドにぴったりフィットしたんです」

当時はネグローニも知らなかったというジャックさんは、大学院に通いながら夜は祇園のバーで働き、バーテンディングにまつわる知識を深めていく。そして大学院終了後、レミーコアントローに入社。

ブルックラディとウエストランドという、エリアの異なるシングルモルトウイスキーを担当することになった。

「それまでスコットランドに行ったことがなかったので、アンバサダーになって初めて海外の蒸留所を訪れました。

ブルックラディは、ウイスキーの製法、サステナビリティ、熟成年数をボトルに記さないところなど、業界のスタンダードではないところにあえて挑戦する姿勢に共感しています。

ローカル(アイラ島)を大切にしていて、地元に還元するという意識を常に持っている。そして、なによりもおいしい!」

アンバサダー時代はさまざまなイベントに登場、あるときはバーテンダー、あるときはジャッジと、さまざまな立場からブランドの魅力を伝えた。

SMWSのこだわりは、統一デザインのラベル&蒸留所名の記載なし。

4年半の間、アンバサダーとして造り手たちのメッセージをさまざまに発信してきたジャックさんだが、2024年末に次のステージに進むことを決意。

「ザ・スコッチモルトウイスキー・ソサエティの代表取締役に就任することは、絶好のチャレンジだと感じました。

キャリアとしてはもちろん、1人のウイスキーファンとして、160を超えるパートナー蒸留所とコミュニケーションを取れるというスタンスは大きな魅力だったんです。

いまは『ミスター・ウイスキー』を目指して勉強を続けています」

ここであらためて、市場に出回っていないウイスキーを会員向けに提供するSMWSのシステムを紹介しよう。

提供されるのは、スコットランドを初め、アメリカ、フィンランド、デンマーク、日本、台湾、インド……世界160以上の蒸溜所・15,000以上の樽から、ウイスキーの専門家により厳選された一樽を、カスクストレングス(無加水)のまま瓶詰めされたもの。

特徴は、ボトルには一切、蒸留所名が記載されないこと。ラベルに記されるのは、蒸留年月日・熟成年数・瓶詰数・アルコール度数・蒸溜所コード・樽番号のみ。

これは「蒸溜所への先入観に捉われることなく、ウイスキー本来の味わいを楽しんでもらいたいから」(ジャックさん)なのだとか。

後編では2025年に注目したいキーワードを、ジャックさんに伺います。

後編に続く。

ずらりと並ぶSMWSのボトル。「ディープ、リッチ&ドライフルーツ 」、「スイート、フルーティー&メロー」など、12のフレーバープロファイルごとに、異なる色のラベルとキャップをあしらっている。

SHOP INFORMATION

THE SCOTCH MALT WHISKY SOCIETY
非公開
URL:https://smwsjapan.com
w

SPECIAL FEATURE特別取材