PICK UPピックアップ
コーヒーとバーの世界を橋渡しする
BEYOND COFFEE ROASTERSって?
<前編>
#Pick up
Bunn from「BEYOND COFFEE ROASTERS」
最高のバイブスの持ち主、店主のBunnさん。ヒゲがトレードマーク!
どりぷら編集部最注目のコーヒーロースタリー。
関西のコーヒー激戦区で独自の存在感を発揮するコーヒーロースタリーといえば、「BEYOND COFFEE ROASTERS」。
2014年に神戸市中央区で創業した高品質のコーヒー豆専門店で、コーヒー業界でキャリアを積んだBunnさんが、浅煎から深煎まで豆の個性に応じて自社焙煎したコーヒー豆の店頭販売、卸販売をしている。
「独自」と言ったのは、ロースタリーでありながら酒販免許や通信販売酒類小売業免許etc.を取得しており、「Fernet Hunter」の輸入販売を行なっているから。
「Fernet Hunter」は2016年に誕生した、ビターズの製法に則って造られているボタニカルリキュールだ。
造り手は香港をベースに活躍するラファエル・ホルツァーさん。
ラファエルさんは香港のミシュラン星つき焼き鳥居酒屋「Yardbird」、および、そのグローサリー部門「Sunday’s Grocery(現Sunday’s Sprits)」に関わっていたのだが、彼らのオリジナルコーヒーリキュール「Sunday’s COFFEE SHOCHU」にコーヒー豆を提供したのが「BEYOND COFFEE ROASTERS」。
これがきっかけで、親交を深めるようになったというわけ。
店頭販売やドリンクの提供を行う2号店。焙煎機を置く、昭和感あふれる1号店の斜向かいに位置する。
「『Sunday’s COFFEE SHOCHU』の開発は創業してすぐに携わったプロジェクト。
ひょんなことから声をかけてもらい、焙煎度合いの異なるコーヒー豆を提供しました。
姫路の酒蔵でプロトタイプを製造する際、『Yardbird』側の開発責任者のラファエルと初めて会いました。
以来、ビジネスパートナーとして信頼関係を深めてきたんです」
屋号の通り、一般的な焙煎店の業務内容に捉われない展開を心がけていたというBunnさん。
酒業界に関わるのは初めてだったが、コーヒー業界とはまったく異なる視点や考え方のものづくりを大いに楽しんだ。
「コーヒーって深掘りすればするほど、消費者には縁遠い、マニアックな世界に入ってしまうので、別の表現方法を探していたところでした。
そのタイミングで『Sunday’s COFFEE SHOCHU』の協業が実現し、コーヒー×酒という新ジャンルに携わることができたのです。
これが、現在やっていることの原点になっています」
「Fernet Hunter Granit」とコーヒーをインフューズドしたUnicum、マンダリンオレンジリキュール、「幾星」オリジナルのラベンダーハーブウォーターを合わせたカクテル。名前はまだない。「ネタ元は以前、『幾星』の織田さんに作ってもらったカクテル。自分のところで似たようなものができないか、というところから考案しました。正式名称がないのですが、参考元となったカクテルへ敬意を表し、たとえば『イクセイ』というように、バーの名前をそのままカクテル名にしてしまおうかと考え中」
肝心の「Sunday’s COFFEE SHOCHU」だが、2種類の豆で製造したプロトタイプを香港で1ヶ月熟成、それを関係者全員で試飲したそう。
「浅めに焙煎したインドネシアの豆を使ったタイプのできがよく、こちらを本製造することになりました。
現在はSunday'sブランドを代表する商品としてYardbirdで提供されています」
日本での販売は2017年からスタート。製造元である壺阪酒造株式会社のほか、酒類販売小売業免許を取得したBEYOND COFFEE ROASTERSでも手がけている。
さて、「Sunday’s COFFEE SHOCHU」以降、「Yardbird」と頻繁なやりとりが続くのだが、その途中にラファエルさんが自らのプロダクトとして「Fernet Hunter」の製造をスタート。
日本でも販売したいと相談を持ちかけられ、関西圏のワイン輸入業者などを紹介したが、なかなか話が進まない。
一方、自家用に送ってもらったものを提供していた「BEYOND COFFEE ROASTERS」の常連はみな、「Fernet Hunter」のファンになっていた。
「調べてみたら、輸入に関してさらに必要な免許もありませんでした。良い製品であることは誰よりも知っていることから、自分が担当してみるかとラファエルに連絡したんです。
全く新しいリキュールということで諸手続きにかなりの時間を要しましたが、昨年11月に販売スタート。
今年に入ってから、本腰を入れて薬草酒を扱うバーへの突撃行商に取り組みました」
「BEYOND COFFEE ROASTERS」で取り扱う「Hard Peach Tea」。「Fernet Hunter Granit」を使ったティーカクテルで、鉄観音烏龍茶、ピーチ、「Fernet Hunter Granit」、炭酸だけでできている。爽快なピーチにほのかな苦味のあるお茶の余韻がベストマッチ。¥900
「Fernet Hunter」を持ってバーへ突撃行商!
聞けば、突撃先は「幾星」や「Bar Benfiddich」のような有名どころばかり。アポ無し行商、めちゃ勇気入りません?
「むしろバー事情に明るくないから、ぐいぐい行けたのかも(笑)。
『幾星』の織田さんは、『はじめまして』にも関わらず『買います!』と言っていただけたほど気に入ってもらえ、この体験が突撃の自信になりました。
『Bar Benfiddich』では、カウンターに座って鹿山さんに話しかけるタイミングを見計らっていたら、隣に座っていたのがなんと、『Jigger&Pony』のバーテンダー。
鹿山さんは『Jigger&Pony』で『Fernet Hunter』を味わったことがあったようで、ここで思わぬ縁が生まれたのもいい思い出です」
突撃行商に出向いたバーでバー専門酒屋の存在を知り、輸入酒卸販売の免許も取得。
「今年になって突撃行商を行う傍ら、さまざまなバーに足を運び、薬草酒を使ったカクテルやコーヒーカクテルを勉強するようになりました。
知らないことばかりだから、とにかく楽しいし、手応えがあります。
現在は店頭でも『Fernet Hunter』とコーヒーを使ったカクテルをいくつか提供しています」
お蔵入りになったオリジナルカクテル「五級河川」は、「幾星 京都蒸溜室」で授けられたヒントから生まれたカクテル。色は悪いが味わいは抜群、お蔵入りはもったいない!
薬草酒とコーヒーは相性抜群!
「カクテルの引き出しはまだまだ少ないので」と謙遜するBunnさんだが、最高のコーヒーを抽出するスキルと知見がある+ブレンドのセンスがある(と、トップバーテンダーからのお墨付き)ということで、オリジナリティあふれるカクテルを振る舞っていただいた。
まずは「Fernet Hunter」のフライトから。「Fernet Hunter」と、超微糖でドライに仕上げた「Fernet Hunter Granit」、「Fernet Hunter」にBunnさんが焙煎したコーヒー豆を漬け込んだ「自家製COFFEEインフューズド Fernet Hunter」の3種を試飲させてもらう。
この「自家製COFFEEインフューズド Fernet Hunter」はラファエルさんも大変気に入り、Bunnさんの豆を使って正式にリリースすることになったとか。
現在は試験熟成しているところで、うまくいけば来年にローンチされる予定だ。
通いて「Fernet Hunter」ツイストしたジンフィズ。「Fernet Hunter」と「Scarlet」、「Remy Martin」に「幾星」のハーブウォーターでコープスリバイバーをツイストした「五級河川」と、ユニークなカクテルが登場。
「五級河川」って、ずいぶん尖ったネーミングですね。
「コーヒーでは香りと味わいにフォーカスすればいいんですが、カクテルではビジュアル、つまり色合いも大切なんですね。
コーヒーはぜんぶコーヒー色ですからね……。いままで意識したことのない感覚なので、そこに苦労しています。
この『五級河川』は味わいも香りもいいんですが、色合いがなんていうか、都市部の河川っぽくて、常連さんにこうネーミングされました。NGすぎてお蔵入りです(笑)」
後半では、11月にBunnさんがラファエルさんと行った、香港バートリップの様子をご紹介。
コーヒーのプロにしてリキュールインポーターとしての視点から、香港のバー事情をレポート。
さらにBEYOND COFFEE ROASTERSが考える、お酒×コーヒーの展望についても伺います。
後編に続く。
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