PICK UPピックアップ
祝、朝ドラスタート!高知初のクラフトジンは
天才植物学者、牧野博士へのオマージュ。
<前編>
#Pick up
Shiota Takashi/塩田貴志 by「ダンディズム土佐BARクラップス」
「マキノジン」をプロデュースする塩田さん。
「日本の植物学の父」と謳われる、高知県生まれの植物学者、牧野富太郎博士。
草花と向き合い、自然の多様性を尊んだ牧野博士は、94年にわたるその生涯で1500種以上の新種を発見し、40万点にものぼる植物標本を世に遺した。
そんな博士の名を冠したクラフトジンがある。その名も「マキノジン」。
手掛けるのは、高知市で“土佐ダンディズム”を体現するオーセンティックバー「ダンディズム土佐BARクラップス」を営む塩田貴志さんだ。
“高知ならではのクラフトスピリッツを”という思いからスタートしたという「マキノジン」の誕生の背景を追ってみよう。
高知市内のもっとも賑わうエリアにある「ダンディズム土佐BARクラップス」。こちらでは「マキノジン」を使ったさまざまなカクテルを提供する。
生産者の思いをスピリッツで届けたい
10年前、フレッシュフルーツを使ったカクテルの提供をスタートしたことをきっかけに、季節のフルーツを求めて生産者のもとに通うようになったという塩田さん。
生産者の熱量を感じるにつれ、高知ならではの農産物の魅力を伝える場をさらに広げていきたいと、地域資源を活用した農産物加工品にチャレンジしたくなったという。
地域の6次産業化を担う人材を育成する教育プログラム「土佐FBC」に参加して食品衛生学を学びながら、はじめにリキュール、次に高知の素材だけを使ったモヒート用シロップの開発に着手した。
「ちょうどその時期に、高知の食文化に関する活動を行う『土佐学協会』と縁ができ、協会が主催する『土佐の酢みかん文化を楽しむ会』に参加するようになりました。
高知の柑橘といえば酢みかん(香酸柑橘)ですが、それを使ったドリンクのレシピを考えるうちに酢みかんをジンに仕立てられないかというアイデアがうまれ、メイド・イン・高知のクラフトジン造りの構想がスタート。
『土佐FBC』のSコースで蒸留とボタニカルについて学びながら、開発を始めたんです」
ラベルに描かれているのは、60代の牧野博士の姿。手掛けたのは、「牧野植物園」で学芸職員および展示デザイナーを務めた後、フリーランスとして活躍する里見和彦さん。
キーボタニカルは牧野博士にちなんだ「スエコザサ」
塩田さんがはじめに選定したのが、ボタニカルではなくベーススピリッツ。
高知の造り酒屋、司牡丹酒造の竹村昭彦社長が前述の「土佐学協会」の理事長を務めていた縁もあり、「マキノジン」の蒸留について相談にいったところ、酒庫に眠っていた22年ものの清酒取り焼酎「大土佐」を使わせてもらえることになった。
キーボタニカルは牧野博士にちなんだスエコザサ。博士が発見・命名した、アズマザサの変種で、ササらしい青い香りが特徴だ。
「薬膳インストラクターに聞いたところ、薬効のある素材として重宝されており、漢方薬にも使われているそうです。
他のボタニカルをきれいにまとめてくれる役割を担っており、これを入れるとジンの香り立ちがシャープになります」
「クラップス」の定番カクテルの一つ、「マキノジンリッキー」。
もう一つ、キーになるのが“酢みかんの王様”といわれるブシュカンの果皮。ブシュカンは高知県全域で栽培されている柑橘で、塩田さんいわく「和製ライム」。
シャープな香りが独特で、「クラップス」のカクテルには欠かせない柑橘である。
さらに有機栽培されているグアバの葉と果皮、白檀のような芳香のカヤの木の削り節、高知産ショウガなど、12種のボタニカルを選定した。
ジュニパーベリー、コリアンダーシード、スペイン甘草以外は、可能な限り高知県産を使用している。
「イメージしたのは、日本らしい香り立ちのクラフトジン。
一つのボタニカルが力強く香るのではなく、それぞれのニュアンスが複雑に絡み合うような、そんな味わい・香りを目指しました。日本を含めたアジアのオリエンタリズムを香りで表現したかった」
完成した「マキノジン」の味わいは、といえば、はじめにブシュカンのシトラス香が、続いてカヤの木由来のウッドノートが立ってくる。
ミッドノートはグアバの葉のエキゾチックなニュアンスが感じられる。
どこかスパイシーな香りと余韻はショウガだろうか、そうした要素をスエコザサがうまくまとめているようだ。
後編では「マキノジン」おすすめの飲み方と、第2弾となる土佐文旦バージョンについてご紹介します。
後編に続く。
SHOP INFORMATION
ダンディズム土佐BARクラップス | |
---|---|
高知県高知市帯屋町1-2-8 徳屋ビルB1階 TEL:088-824-2771 |