
PICK UPピックアップ
旬のバーテンダーが全国から集結!
富山のフレアイベントをレポート。
<後編>
#Pick up
HIROKI from「Bar HYDEOUT」
文:Ryoko Kuraishi
「THE COCKTAIL! 2021」は、富山から世界へバー文化を、そしてフレアのシーンを発信していこうとBar HYDEOUTのHIROKIさんが温めていた企画である。
実は今夏にも、駅前にある屋外施設を使って入場者1000人以上という規模で開催を予定していた。
こちらはコロナ禍による緊急事態宣言を受けてあえなく中止となったが、夏のイベントでフレアバトルを行い、その上位入賞者による決勝戦を今回のイベントで行うつもりだった。
「2019年に富山で開催したイベント(「富山フレアサンシャイン」)でフレアシーンが一気に盛り上がったので、今年は8月と12月の2回に渡ってイベントを開催し、起爆剤にしたかったのですが……
その代わり、できたばかりのクロモジトニックをお披露目する機会となりました」
フレアのパフォーマンスも、正統派のカクテルも。
そう、今回は富山県利賀村産のクロモジを使ったトニックウォーターを、各地から招いたゲストバーテンダーがオリジナルカクテルに用い、来場者に振る舞うのだ。
「目指すのは、フレアのパフォーマンスだけでなく、正統派のカクテルを味わってもらえるイベント」とHIROKIさんが言うように、カクテルデモンストレーションにも重きを置いた構成になった。
ウェルカムドリンクとしてみんなでクロモジジントニックを味わった後、今春発売されたばかりのクロモジビールで乾杯。
ステージ上にはゲストバーテンダーで、フレアの審査員も務める鹿山博康さんが登場。待望のカクテルデモンストレーションがスタートした。
この日のために鹿山さんが考案したオリジナルカクテルは、クロモジジンを使った「山の恵みのギムレット」。
すり鉢にフレッシュなセンブリ、シソ、クロモジジンを入れ、すりこぎでよく擦る。
同じすり鉢にドン・フリオ、ライムジュース、スロージューサーにかけたダイコン、はちみつを加え、シェイク。
清々しい香りのクロモジジンに、ドン・フリオの樽熟由来のロースト香をアクセントにしたショートカクテルだ。
会場内のカクテルブースは前半・後半でバーテンダーが変わり、異なるカクテルを100杯ずつ提供してくれた。
会場内には4つのカクテルブースが設けられ、鹿山さんのカクテルのほか、フレアバトルの審査委員長を務める山本圭介さん(東京・Jeremiah)の「Golden Martinez」、中村純さん(神奈川・BAR Newjack )の「Gentle Martini」とクロモジトニックを使ったモクテル「Peachi-John」、オーリーの「After the Rain Coffee」の4種が提供された。
また、会場の一角にはスポンサーである三郎丸蒸溜所の試飲ブースが出現、蒸留所の5代目・稲垣貴彦さんも登場。
待望のシングルモルト「三郎丸ⅠTHE MAGICIAN」の試飲も可能ということで、人だかりができていた。
2回目のカクテルデモンストレーションには、京都・Bee’s Kneesから有吉徹さんが登場。
アイリッシュウイスキーのBUSKERをベースに、レモン、ユズ、パッションフルーツ、グレープフルーツのフレッシュジュースとクロモジトニックを合わせたカクテルを、ライムやレモン、フェンネル、バジル、ミントを乾燥させてパウダー状にしたものでスノースタイルにしたグラスに注いでサーブ。
「朝起きたら10時でした」と告白した有吉さん。トークでも会場の心を掴むのはさすが。
お待ちかねの、東西対抗フレアバトル!
これにあわせ、会場のカクテルブースの内容も一新。
後半では富山産トマトやローズマリーを使った「究極のブラディマリー」、「至極のガルフストリーム」、バスカーをベースにした「Night Stinker」、モクテルの「Fuzzy Complex」の4種が登場した。
続いて、この日のもう一つのハイライト、東西対抗フレアバトルがスタート。
2組のフレアバーテンダーが、DJのプレイに合わせて即興で技を披露し合うフレアバトルは、スタイルの異なるバーテンダーの技のぶつかり合い、即興だからこその熱量やスリルが醍醐味。
これを目当てに訪れた来場者が一気にステージ前に集まり、バトル前から異様な熱気に包まれている。
今回は東西対抗と銘打って、東京および横浜、それから関西圏から、最近注目の若手や世界大会でも活躍する実力者4組が集った。
それぞれがバトルを行い、勝ち抜いたバーテンダーが、“絶対王者”オーリーと決勝戦を戦うという趣向だ。
なお、勝敗はオーディエンスの声援と審査員のジャッジで決まる。
フレアバトルの模様。「フェスのような雰囲気のなかでDJのパフォーマンスに合わせた“酒瓶の格闘技”ことフレアバトルを生で体験してもらいたい」とHIROKIさん。
決勝戦に勝ち進んだのは、海外大会で優勝したスキルとスタイルで会場を沸かせた中村純さん。
なお、オーディエンスの最前列に小学生がいたことが、富山のシーンの幅広さを現れているようだった。
決勝は、圧倒的な女性ファンの声援を受けてオーリ―が制したが、延長線にもつれこむ互角の戦いを魅せてくれた。
2時間に渡るイベントを振り返り、「富山まで足を運んでくれたバーテンダーたちが、最高のパフォーマンスで場を盛り上げてくれたことに感謝したい」とHIROKIさん。
「レストランという言葉を辞書で引くと”元気の出る場所”と書いてあります。
僕は、バーもそういう場所だと思っています。
だからバーがもっと身近な存在になって、もっとたくさんの人に足を運んでもらって、世界中の人に元気になってもらいたい」
「THE COCKTAIL! 2022」は来年9月4日と12月4日に開催予定だ。
富山から世界を変えていこうというアツいムーブメントを、どうぞお見逃しなく!
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