
PICK UPピックアップ
インスタライブとYouTubeを駆使して、
クラフトジンをもっと身近に。
<前編>
#Pick up
ジェーニャ・マラホワ from「Craft Gin Bar Copain」
文:Ryoko Kuraishi
Photos by Hisashi Nagasu
池袋駅東口から明治通り沿いに歩いて10分ほど、住宅街の入り口に「Craft Gin Bar Copain」がある。
オープンしたのは2年半前。
カウンターに立つのはロシア出身のジェーニャ・マラホワさんだ。
2階はゲストハウス、1階がカフェになっていて、そのカフェスペースを利用してバーを営業を行なっている。
オープン当初、クラフトジンは7、80種程度しかなかったので「クラフトジンバー」と謳いづらかったというが、現在では350種を超えるラインナップを誇る。
都内はもちろん、日本各地からバーテンダーやバーオーナーが珍しい銘柄のテイスティングにやってくるとか。
「いろいろな蒸留所に出かけるようになったことで造り手と繋がれて、限定ボトルをオーダーできたり、サンプルをいただけるようになったり。
クラフトジンのコミュニティのなかで少しづつネットワークを広げてきました。
同時に、お店の内装も少しずつ手を入れて、バーっぽい設えに変えてきたんですよ」
カウンターの上のショーケースは、常連客に頼んで作ってもらったもの。
クラフトジンのコミュニティは、造り手が面白い!
一口味わった時からクラフトジンの虜になったというジェーニャさん。
果たしてその魅力って?
「クラフトジンの好きなところ、ですか?
世界中のユニークな造り手とすぐに繋がれるところかな。
去年はスコットランドとイギリスへ、ジンの蒸溜所巡りに出かけました。
面白かったのは、スコットランド最北のジンの蒸溜所、ROCK ROSE。
夫婦二人ではじめた、いかにも『クラフト』というムード満点の蒸留所です。
日本の蒸溜所って、ツアーを開催していても秘密にしている部分がどこかに必ずあると思うんだけれど、彼らはものすごくオープン。
自分たちの庭で栽培しているボタニカルも、その配合も工程も、ぜーんぶ見せてくれました。
それってけっこうすごいことでしょ?」
Copainで人気のカクテル、「トニックジンエスプレッソ」1,080円。 FECKIN GINとカルーアシナモンスパイス、エスプレッソ、池袋のコーヒーショップ「VALLEY」のコールドブリューコーヒー、トニックを合わせたカクテル。
そうやって産地へ出かけ、造り手と交流を重ね、クラフトジンへの理解を深めていくうちにジンに対する思いも変わってきたとか。
「これだけ飲んでいるのに、まだまだ味わったことのないフレーバーに出会ったりして。
聞いてみると、それはその土地でしか取れないボタニカルが原材料のキーになっているんですよね。
たとえば、その昔、バイキングが戦いに出かける前に自分たちを奮い立たせるために使っていた自生のバラ、とかね。
なので今年の夏もまたスコットランドに渡って蒸留所巡りをして、今度は2ヶ月くらい蒸留所に滞在してジン造りを勉強させてもらおうと思っていたんですが……
コロナでぜんぶダメになりました。
それどころかお店も2ヶ月半クローズ。上のゲストハウスもいまだ開店休業状態です」
ジェーニャさんの現在のおすすめのジンのラインナップがこちら。「季節によっておすすめはかわるけれど、いずれにせよ小さな蒸留所のジンをご紹介しています」。これらのジンのものづくりの背景を、インスタライブで配信している。 https://www.instagram.com/barcopaintokyo
コロナ禍ではオンラインを積極的に活用してあらたなファン層も獲得!
とはいえ、ここで嘆いていても仕方がない。
常連客やクラフトジン好きが自宅にいても楽しんでジンを飲めるよう、クローズ中も精一杯のことをしていた。
「去年の旅の写真をあつめて蒸溜所ツアーを楽しめる動画や、ジン造りの背景をまとめた動画を作ってYouTubeに投稿したり、海外の蒸留所の造り手を招いてzoomでオンラインセミナーを開催したり。
こんな状況下でもサンプルを送ってくれる造り手がいるので、インスタライブではあたらしい銘柄を積極的に紹介しています。
インスタライブは現在も続けていて、いろいろな方に見ていただけています。
新しいボトルを紹介するとすぐに、『あのジンを飲んでみたい』というお客さんが何人もお店に足を運んでくれるんですよ」
おこに入りの蒸溜所、ROCK ROSEが出したZINEは手書きのサインとレター付き。
バーに行けなくても蒸溜所を訪ねられなくても、オンラインで繋がってコミュニケーションが取れる。
「世界のどこかを旅することはなんだかとてつもなく遠いことに感じてしまうこの頃だけれど、彼らの蒸留所の風景を眺めているだけで多少なりとも旅した気分を味わえるんです。
それに、私がフィーチャーするのは、みんなに知られていない、地方にある小さな蒸留所のジン、真摯な造り手が一生懸命作っているスモールバッジのものがほとんど。
どういう地形にあるのか、気候や風土は、そこではどういうボタニカルが育つのか、それをどういう風に使って造っているのか。
知らない土地のジンだからこそ、そういうものづくりの背景に興味が湧きませんか?
そういう知識が増えていくと見たことのないエリアのことも身近に感じられるようになって、世界って自分が思ったより小さいなって思う。
結局のところ、そう思わせてくれることがクラフトジンの醍醐味なんだと思います」
ジェーニャさんのクラフトジン談義はまだまだ続きます!
後編に続く。
SHOP INFORMATION
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Craft Gin Bar Copain | |
東京都豊島区上池袋1丁目8−1 TEL:080-7827-2134 URL:www.facebook.com/barcopain/ |