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糀のリキュールをカクテルにどう使う?
トップバーテンダーが仕立てる 、みりん「Me」カクテル。
- 後編 -

PICK UPピックアップ

糀のリキュールをカクテルにどう使う?
トップバーテンダーが仕立てる 、みりん「Me」カクテル。
- 後編 -

#Pick up

木村倫太郎/Kimura Rintaro from「神田豊島屋」

今月のテーマはみりん×カクテル!海外バーにも広まりそうな「糀のリキュール」を、日本のバーテンダーたちはどう使ってる?

文:Ryoko Kuraishi

デザートコースの専門店「VERT」とのコラボレーションイベントで提供されたスイーツとドリンク。イベントのテーマは1867年の「第二回パリ万博」で、使節団の一人として派遣された渋沢栄一が好んだものに着想を得て考案された。

オーセンティックなみりんを現代的にアップデートし、リキュールとしてブランディングする。

開発者の木村倫太郎さんがイメージしたのは、「江戸時代によく飲まれていたといわれる『柳蔭』(江戸では『本直し』もしくは『直し』)のリバイバル」だという。

「聞けば、あまりおいしくなかった焼酎の味を調えるためみりんを加えた(=「直し」)ことが起源らしいのですが、マティーニを例にあげるまでもなく、副材料を混ぜることでドリンク全体の完成度を高めるものがカクテルです。

とすれば、『柳蔭』は日本最古のカクテルといえます。

そんな背景もあり、ぜひ、現代のバーシーンで使ってほしいと思いました。

また、バックバーにみりんが並んでいるだけで、みりんに対する消費者のイメージががらりと変わる。そんな効果も考えていました」

「そのまま飲んでも、カクテルに合わせても」と言うのは、「Tokyo Confidential」 ヘッドバーテンダー、Wakaさんこと村田和香菜さん。

木村さんの幼馴染であるバーテンダーの馬場淳也さん(大船「BAR ANDALUSIAN」/PBO BARTENDER’S COMPETITION 2016最優秀バーテンダー)に、できたての「Me」を持っていき試飲してもらったところ、バーでも使えるお墨付きを得たこともあり、バーに向けてのPRをスタートした。

そのための足がかりとしたのが、3大酒類コンペ「IWSC」「ISC」「SFWSC」。

みりんはリキュールであることを世界的に証明したいと、「IWSC」「ISC」「SFWSC」のリキュール部門に出品。結果、「IWSC」「ISC」で銀賞、「SFWSC」で銅賞と、いずれもメダルを獲得している。

バーでのアルコール提供が難しかったコロナ禍にあって、積極的に「Me」を使ってくれたのが、「BAR B&F」の高梨寛実さん(現「バー小鳥遊」オーナーバーテンダー)。

火を入れてアルコールを飛ばした「Me」をモクテルに使ってくれるようになった。

これがきっかけで徐々にバーテンダーの間で認知されるようになってくる。

群馬県前橋市「白井屋ホテル」のバー「真茶亭」の⽊村 堅さんが提供しているこちらは、米焼酎とジャパニーズクラフトジンに「Me 無濾過生原酒」を合わせた「柳蔭」。

江戸時代のカクテル「柳蔭」をリバイバル。

昨年秋にはバーテンダーやパティシエ、料理研究家など、飲食業界の第一線で活躍するクリエイター向けのワークショップを、製造現場である東村山の豊島屋酒造で実施。

バーテンダーたちが「Me」の製造工程の一部を体験するとともに、みりんの歴史や生まれた背景などを学ぶマスタークラスに参加した。

「東京のバーテンダーのみなさんには広まってきたという手応えを感じています。

バーテンダーのみなさんはいろいろな使い方・提案をされていて勉強になります。

最近では、『Bar RENRi』の宮之上哲太さんが寿司&バーのコラボイベントを実施された際、『情け嶋』(麦焼酎)と『Me』をあわせたカクテルを出されていて、それがとてもよくて印象に残っています」

「bar cacoi」(東銀座)の大場 健志さんが提供するのは、「イチゴとMe無濾過生原酒のフレーバードティー」。イチゴのエキスを移した「Me」に、ブランデーを少々、フレーバードティーを注いだホットカクテル。華やかな香りと果実の甘味のハーモニーを楽しめる1杯。

今後の目標は生産量を増やして安定的に供給する体制を整えること、そして『Me』のさまざまな飲み方を知ってもらい、現代の「柳蔭」(焼酎1:みりん1)を普及させること。

目標は、「和食料理店や寿司店、割烹などで、『柳蔭』が当たり前のように提供されるようになること」とか。

一方、麹がブームになっていることも海外のマーケットも見据えている。現在はシンガポール、オーストラリア、イギリスへの輸出が始まったところだが、海外のバーシーンでは特に高い注目を集めそうだ。

「シンガポールの人気バーには、メニューにも当たり前のように“kouji”の文字がありましたし、飲み手にも浸透しているようでした。
糀のリキュールというだけでキャッチーですし、現地のバーテンダーにも『使いやすい』というフィードバックをいただいています」

海外のバーのバックバーに、当たり前のようにみりんが並んでいる……そう遠くない未来、そんな光景を目にするようになりそうだ。

ワークショップには、「The SG Club」や「Tokyo Confidential」など、おなじみのバーに在籍するバーテンダーが数多く参加した。

SHOP INFORMATION

神田豊島屋
東京都千代田区内神田1-3-1
TEL:+81-3-5283-1871
URL:https://me-toshimaya.com

SPECIAL FEATURE特別取材